導入の経緯 : 経営統合による定量評価モデルの統一化
株式会社損害保険ジャパンと日本興亜損害保険株式会社の経営統合に際し、社内の信用格付体系の統一化を図ることとなりました。これに伴い、定量評価モデルについても両社で統一することを前提に、既存格付モデルのリニューアル、または外部格付モデルの採用を検討しました。
外部モデルを採用する場合には、(1)他社の利用実績が豊富でサービスの提供の継続性について安定・信頼感があること、(2)定期的な更新がありモデルの陳腐化がないこと、(3)モデル設計内容の十分な開示がありブラックボックスではないこと、等を中心に検討しました。
導入の決め手 : 推計精度とわかりやすさの両立
RADARは外部モデル採用の条件を十分に満たしていました。銀行、政府系・系統金融機関、保険会社、証券会社等の大手金融機関を中心に利用実績が豊富で、毎年最新のデータを用いたモデルのパフォーマンス検証を行い、その結果に応じてモデルのメンテナンスを実施していることを評価しました。格付推計ロジック等の詳細について開示して頂けることも評価のポイントでした。
また、他に検討したモデルでは、銀行、ノンバンク等の業種を含んでいないものがほとんどであり、その点でRADARは業種のカバー率が圧倒的に高く、さまざまな業種の格付を高い精度で推定できることから、実務運用の観点で大きなメリットがあると評価しました。
さらに、他社のモデルのアウトプットがスコアだけであったのに対し、RADARはR&I格付を推定するモデルであるうえ、その格付をスコア化した数値も出力され、外部格付との水準比較が容易かつ明確であったことから、社内格付体系の統一にあたっては制度設計がしやすいと考えました。
実際に、信用格付を付与する際の定量判断の材料としてRADARを導入してみて、これらの点が高いレベルで満たされていることを実感しています。また、本決算の財務諸表による評価が基本とのことですが、四半期の決算でも格付が推計できるため、タイムリーな定量情報の把握にも用いています。