八十二銀行様における導入事例

AERISは、個社からポートフォリオ全体、過去財務から将来財務へと信用リスクを統合的に評価・管理する総合リスクシミュレーションパッケージです。将来財務予測機能が特徴的で、貸借対照表の項目について経営者の行動パターンを確率分布としてとらえた「戦略マップ」という概念をもちいて財務諸表を予想することができます。例えば、売上高についてストレスをかけることにより、ストレス時に個社またはポートフォリオ全体のリスクが現状からどの程度変化するなどのシミュレーションが可能となります。

リスク統括部信用リスク管理グループで

株式会社八十二銀行リスク統括部信用リスク管理グループ様は、自己査定・信用格付及び融資ポートフォリオ管理を専門的な統計や金融工学を用いて合理的に実施しているグループです。当ツールの開発にご協力頂いている、同グループの田幸様(倉島様)にご感想をお聞きしました。

バーゼルⅡ規制FIRB承認後にも対応

「八十二銀行は、リスク管理の高度化に取組む中、20年9月にバーゼルⅡ規制の基礎的内部格付手法(FIRB)の承認を得ました。承認後も常にリスク管理の高度化を図ることが求められることから、格付スコアリングモデルのチューニング等で日経金融工学研究所の協力を得ながら対応を継続しています。

日経金融工学研究所は信用リスク評価の基盤となるスコアリングモデルの開発だけでなく、モデルの検証等に使用できる統計ツール等も取り扱っており、金融機関の信用リスク管理関連のニーズに幅広く対応してきています。

将来財務を推計することを可能に

「AERIS」もこのような対応の中開発されたツールです。過去の財務情報を使用して企業の信用力を判断することは一般的に行われてきましたが、将来の企業の財務状態を予測することは、その不確実性からあまり具体的な取り組みがありませんでした。「AERIS」は多くの財務データを使用し、過去から現在までの財務状態の推移を統計的に分析することで、ある企業の将来財務を推計することを可能にしています。

「AERIS」は、個別企業の将来の財務や格付を推計するだけでなく、銀行全体の将来ポートフォリオの予測や、再生支援を実施している企業の将来を予測する等への利用も想定され、幅広く活用できる可能性が高いツールと考えています。

ツールがその機能を十分に発揮できるかどうかは、現場である金融機関がどのように使いこなすかが重要な要素となりますので、ユーザーとしての視点で今後も積極的に協力していきたいと考えています。